短気は損気、負けるが勝ち

子どもの頃、母によく言われた。
「短気は損気よ」
「負けるが勝ち、負けるが勝ち」

ケンカっ早い子だったので、
争いを好まない母には心配だったのであろう。
私がケンカをしたときとか、
家でかんしゃくを起こしたときとかに
よく言われた気がする。
怒られた、って言われ方じゃなく、
またやっちゃったの? (少し寂しそうに)しょうがないわねえ、
って感じだった。

ケンカばかりやっていた、小学生時代。
中学に入ると、ピタッと止めてしまった。
今思うと、
あの母の言葉・態度が、ボディーブローのように効いていたのであろう。
きっとそのころの私は、
ケンカをやめるきっかけを探していて、
中学入学という好機を逃さなかったのであろう。

人が変わるには時間がかかる。
(あるとき一瞬に変わる)
ひたすら、同じ言葉を繰り返し、
私が変わるのを待ち続けた母に感謝したい。

「今度ケンカしてきたら、家を追い出すからね」
こんな、頭ごなしに押さえつけるような対応を、
もしも、
されていたとしたら、
私の人生は変わっていたろう。

あれから、25年。
今はもう、めっきり聞かれなくなったこのセリフ。
「短気は損気よ」
「負けるが勝ち、負けるが勝ち」
今度は私が使うのだろうか?
私も母のように待ち続けられるだろうか?