微熱

昨日、会社をサボったと言った。もちろん無断じゃない。ちゃんと電話を入れて、理由をこう伝えた。
「すいません。微熱がありまして、体がだるいんで、今日は休ませてください」
体温は36.5℃だった。完全な平熱。では、あの電話はウソだったのか。
違う。ウソじゃない。私はあの時、明らかに微熱状態にあった。そう、こころが熱を出していたのだ。もし、こころの熱を、いわば心温をはかる器具があったとしたら、はっきりそれが分かったろう。「ああ、俺の心は、ちょっと疲れが溜まっていたんだな。そういえば最近、ゆっくりするヒマなかったもんな。ちょっと今日は休んだほうがいいかもしれないな」。そうはっきり分かったに違いない。
そう、体は平熱でも、こころは微熱ってことがある。自分がそうじゃないか、まわりの人がそうじゃないか、気付かってあげよう。「あのさ、おまえ、ひょっとしたら、こころが熱を出してんじゃないかな。休んだほうがいいよ」って。体が熱を出したら休めって言うよね。それとおんなじ。違うのは、体温と違って、よーく観察しておかなきゃ分からないってこと、だ。