『草枕』

今日読み返した本の中に、夏目漱石の『草枕』からの引用があって、とても有名な文だけど気に入ったので、転載したい。(別にいいよね、ブログに書いても)
 
山路(やまみち)を登りながら、かう考へた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。
(中略)
越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容(くつろげ)て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降(くだ)る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。
 
うーん。いい文だねえ。住みにくい所をどれほどか、寛容(くつろげ)て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。そうだよねえ。いいこと言うね、漱石ちゃん。