37歳の夜

私は仕事が終わり、帰宅するときにはほぼ必ず家に電話する。たいてい奥さんが取るのだが、たまに子どもたちが取ることがある。そういったとき、私の第一声は決まっている。
「こちら、マジグリーン。マジレッドか? マジピンクは無事か?」(息子がマジレッドで、娘がマジピンク
すると子どもは、「バカー、ばかあほぼけかす」などと口汚く私をののしる。なぜなんだろう。たまには「マージ・マジ・マジーロ」とか、返してもらいたいものだ。私に似て、機転のまわらないやつ。
今日もいつものように、帰宅時、電話した。出たのは奥さん。私はこう言った。
「ハッピーバースデー」
まあ、俺の誕生日だし、言ってみたくなるよね。ところがなかなか返事が返ってこない。しばらく間があって、聞こえてきた言葉が、
「誰の?」
うーーーーん。誰のだったっけ? 私も少し考え、
志村けんの」
と答えると、
「だからどうしたの?」
「ホントは俺の」
・・・・
・・「えーーーー!」
そのあと、どれだけ彼女が最近忙しくて、忘れざるを得ない状況にあったかの説明を延々と受けた。ま、この年になって、誕生日だからどうしたわけでもないけどね。
でも、あまりに素に、「誰が」と返されたときは、結構真っ白になったよ。楽しませてもらいました。