大学生になったころ

私が大学生になったのは、1987年4月。18歳のとき。
高校卒業後、すぐ入院した私は、大学への入学手続き、下宿の確保等全てを父に任せた(合格を知ったのは病院のベットの上でだ)。なので、入学式で大阪に出てくるまで、住むところがどんなところか全く知らなかった。
下宿へついてみるとそこは大学のすぐそばだった。キッチン付4畳一間。トイレ付。洗濯は近くのコインランドリーへ。風呂も近くの銭湯へ。その部屋で初めて炊いたご飯がすごくうまかったのを覚えている。おかず無しで、ご飯だけで二合食べた。
ああ、こう書いただけですごい懐かしくなってくる。
高校時代の友人で大阪にいるのは二人だけ。そんなに会えるわけでもない。友達を作ろうと、クラブを探しに出かけた。ちょうど新歓オリエンテーションの頃だ。
小・中・高とサッカーをやってたので、やっぱりサッカー部かな、とサッカー部を探した。が、見つからない。まあ、いいか、また今度探そう、と引き返したのが今思えば運命だったのか。
帰る途中で捕まった。大学構内から出る直前だ。「君、新入生?」男女ペアの二人組みに声をかけられた。
「はあ・・・」目つきは鋭いが、気の弱い私は、二人に言われるがまま、部屋に連れて行かれた。イ号館という少し小高いところにある建物の、薄暗い部屋だった。
「君、ダンス部入らない?」
・・・
は? 何? ダンス????
・・・
聞いたときは耳を疑った。ダンスだって? あの男と女が手をつないでニコニコしながら、ズンチャッチャ、ズンチャッチャってするやつ? 俺が???
似合うわけが無い。いやだ。と思ったのだが、気付けば断りきれず入部を決めていた。そのあと、駅近くの(今でもある)餃子の王将に連れて行かれて、焼きそばをおごってもらい、おごってもらったらしょうがないな、と、なにがしょうがないのかよくわからない理屈で、決めてしまったのだ。そのあとサッカー部を探しになんて、一度も行かなかった。
私を勧誘してくれた二人連れのうちの男のほうは、実は新入生だったとのこと。このクラブに入ります、と決めて勧誘の手伝いをしていたそうだが、一週間後くらいにクラブをやめたんだそうだ。なんだったんだ。