万機公論に決すべし

もうひとつ。明日の選挙では、投票率がどれくらい上がるかが注目される。投票率は確実に上がるだろう。その理由は、今回の選挙の争点が、郵政民営化は是か非かに集約されたからである。これまで選挙に行かなかった人たちを動かす力はまさにここだ。このことから次のことが分かる。
従来の選挙は、どの立候補者、どの政党を選ぶかという選挙であった(今回もそうなのだが、郵政民営化の是非に論点を絞った点で、従来と違う)。このような形式の選挙を与えられ、国民はどのように意思決定するべきか分からず、途方にくれていたのだ。
どういうことか。例えば、Aという論点についてはX党がいいけど、Bという論点についてはY党がいいな、じゃあどっちを選べばいいんだ、分からない。とか、例えば、A党が良いような気がするんだけど、でもA党には「あいつ」がいるから嫌だな、とか。小選挙区では、立候補者の中から誰か選べっていうけど、笑止。何を基準に選べばいいんだ。どの政党にいるかどうかしか、判断基準がないじゃないか。
ここに問題があった。投票率が低いのは、国民の意識が低かったのではない。選挙の仕組みが悪かったのだ。国民は、立候補者、政党を選びたいと思っていない。政策を選びたいと思っているのだ。ここに政府は気付かなければならない。
気付いたなら話は早い。今後の衆院選では、数ある政論それぞれについて、あなたはどの党のマニュフェストが一番優れていると思いますか、を国民に問うべきだ。それぞれの政論について、支持政党を記入するという形式の投票に、選挙の仕組みを変えるべきだ。候補者、政党に投票するだけのために選挙を使っていたのではもったいない。マニュフェストの有効活用にもなる。なにより、日本人らしいではないか。まさに「広く会議をおこし、万機公論に決すべし」を地で行っている。世界がうらやむ国民投票制度になるはずだ。
さて、明日は歴史に残るであろう衆院選有権者の一人として、一票を投じに行きたい。