入院の思い出

先ほど書いた、33歳の夏の入院について書きたい。
入院の経緯はこうだ。6月の終わり、暑くなりかけていたとき、突如排便が真っ黒になった。が、仕事が忙しかったため、すぐ元に戻るだろうと、放置しておいた。3日間くらい真っ黒な排便が出続けたあと、7月1日夜7時頃、突然前触れもなく、仕事場で倒れた。ガス欠で自動車が止まるように、私の体から力が抜けていった。「あ、やばい・・・」このまま自分がどうなるのか予想できず、ひどく不安になった。
後で聞いたが、原因は貧血だったらしい。排便が黒かった原因は、十二指腸潰瘍がもたらした出血であり、血便だったから黒かったというのだ。
診察のとき医者の先生が私に言った。こんなことしてたら死にますよ、と。脅しとは分かったが、このことが自分のこれまでの来し方、これからの生き方について考えさせられるきっかけとなった。
直ちに入院させられた。仕事場のそばの病院への緊急入院。保険証もない。着替えもない。当時、仕事場が明石市付近、住んでいるのが豊中市ということで、家から非常に遠く、しかも生まれたばかりの子どもを抱える奥さんは、残念だけど入院中の病院まで行けないとのこと。孤独な入院生活が始まった。
退院まで5日間くらいだったが、ラッキーなことに個室に入れたということもあり、朝から晩まで毎日、自分のこれまでのこと、これからのことなど、ひとり静かに、じっくり考えることが出来た。考えたというより、俺の人生このままでいいのか、と、ひたすら反芻したのだった。
思えばあれから、本を読むようになった。それまでも読むのは嫌いではなかったが、今とは比べ物にならない。私が本を読みまくるのは、本が好きだから、という訳じゃなく、何かに追い立てられて読んでいるのかも知れない。
それも最近変わってきた気がするが・・・それはまた今度機会があったら書きたい。