姉歯氏による構造計算偽造事件について

信じられない展開になっている。ゼネコンが偽造を強要したとは。ただ絶句。ああ、こんなやつらがいるから、内覧会が地獄となるのだ。(内覧会については、11月14日に、私の魂の叫びともいえる投稿があります)
それはさておき・・・・
マスコミが悪い。今回の事件が、ここまで大問題に発展した責任はマスコミにある。
立替対象となるマンション、ホテルの解体・新築費用は、マスコミが負担すべきだ。我々の税金を使用することはまかりならん。
ある物件は、震度5強にて崩壊するそうだ。あるいは基準値の41%の強度しか得られていないそうだ。なんの説明もなく、突然こんな数字を出して来られたら、そりゃみんなびっくりするだろう。不安に思うのは当然だ。かわいそうに。すべて、マスコミがあおった結果である。
いいたいことは二つある。ひとつは、この「震度5強にて崩壊する」という、国土交通省かな?の見解が現実的かどうか? ということである。一体どのような計算にて導き出されたかしらないが、本当に現実味があるのか? この見解は。
多分、その計算方法で計算したら、古い建物のほとんどは震度5強で倒壊するのではないか。震度4で倒壊するのだってあるかもしれない。しかしながら、時々実際に発生する震度5強地震で倒壊した建物というものを、私は寡聞にして知らない。
いくら鉄筋量を減らしたといっても、日本の耐震基準はおそらく世界一。昭和55年(?)くらいに北陸のほうで起きた地震(恥ずかしながら名前はよく覚えていない☆追記:昭和56年の宮城沖地震?☆)によって、耐震基準が改正されて以降、建物の耐震性は格段に向上した。そのことは、かの阪神大震災にて証明済みだ。
(例えば、専門的になるが、柱の耐震性は、そのフープ筋に大きく左右される。昔はこのフープ筋が30cmピッチだった。今は10cmピッチ。いくら鉄筋を間引こうと思っても、ここは間引けない。常識過ぎて、誰もがおかしいと思うからだ。フープが規定量入っていれば、柱のせん断破壊の危険性も低いので、それほど危険ではないのではないか。一応私も一級建築士のはしくれ。構造屋ではないが)
こんなこといっちゃなんだが、鉄筋を多少減らしたからといって、なんということはないだろう(爆弾発言! 決してそんなこと思ってませんよ)。そもそも相当の安全率を見込んでいるのだから。(当然、私はそんなこと、したことありませんよ)
おそらくは、検討機関が、責任逃れのため(こういうとかわいそうだが)、かなり安全側に安全側に計算した結果であり、倒壊の現実味はかなり低いであろうと断言したい。
もうひとつは、同様の算定方法で、日本全国のすべての建物の耐震性を診断したらどうか、ということ。その結果、相対的に、かの建物がどのくらい危険な位置にあるのか。これをぜひとも公表してもらいたい。
いたずらに、かの建物の危険性を煽っているが、それ以外にもっと危険な建物がいっぱいあるのだということ。これを知れば、今回の報道で騒いでいる人たちも、「ああ、そんなもんなの」と、幾分、気分が軽くなるのではないか。(もっと大問題になるかも知れないけど)
そこらへんに建っている、少し古めの建物も、多分、その計算方法で検討すれば、震度5強で倒壊するって結果がでるだろう。あなたが働いている事務所、住んでるマンションは大丈夫ですか?(別に煽ってるわけじゃないよ。悪趣味?)ちなみに私の住んでるマンションは築30年を超えてそうなのでやばいかも。
以上のようなことを考えてから、公表に踏み切っていただきたかった。軽はずみ、スクープ重視のマスコミの思慮に欠いた報道が、今回の事件を取り返しのつかない大きなものにしてしまった。最初にマスコミに責任を取れと私が言ったのはそういうことである。
最後に、姉歯さん。堂々としてるね。完全に開き直ってる。好きにしてくれ!って感じ。よっぽどこれまでに鬱憤がたまってんだろうな。(姉歯さんに対する同情の投稿が、11月19日にあります)
もう誰にも気兼ねすることはない。全部吐き出しちまえ。そうすりゃ、気がラクになれる。社会にとってもきっといいことだ。
☆追記☆
安易に建て替えるのはやめてもらいたい。免震・制震技術を駆使して、現物利用の対策を講じてもらいたいものだ。あるいは、限界的構造設計の立場で検討し、本当にこの建物は危険なのか? をじっくりと検証し、必要最低限の対策で(あるいは何も無しで)、なんとか生かす方向に向けられないものか。
あ、でも、そのくらいじゃ、そのマンション、ホテルに入居するひとはいないかな?